西方茶話

総合病院精神科をお家とする、おとぼけ精神科医の日記。時々サブカルも。

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2008/07/25 03:29 
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こころの治療は怖くないっ☆第2号

2005年12月11日発行
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   こころの治療は怖くないっ☆        No.2 (隔週刊)
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こんにちはnishima@西宮侑里です。

このメールマガジンでは、精神科医の目から見た世の中のことと、知ってて得する、現場にいなきゃわからないささやかなすきま情報を中心として、人権問題をなども考えながらも、あくまでも深刻な表現を避けきわめて無能なタッチでお送りします。時々突飛でもない表現などございますが、ご了承を。

人権問題としてのモラルハラスメントに関しましてはなるべく皆さんに知っていただきたいので随時それに関連したゲスト執筆者や、リンクなどをご紹介していきたいと思っております。モラルハラスメントや人権問題について書いていただけるゲスト執筆者の方もこれから時々日常業務の都合に合わせて入っていただけるかと思います。今回はカウンセラーの谷本恵美さんです。モラルハラスメントの基本論についてお話いただきます。

ご意見ご感想などありましたら、お気軽にメールをください。
voice@nishima.org

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それではよろしくお願いします…

[責任編集: nishima@西宮侑里]

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■1.用語解説(1)自己愛(2)ニートと自己愛    西宮侑里
 精神医学・心理学の用語で今後必要になりそうなものを、
 ピックアップして説明します。今回も「自己愛」について。

■2.病気の人を見る視点〜人間としての品(2)    西宮侑里
 西宮のメインコラムです。 今回は病気の人への偏見について。

■3.『女性の心を応援しています。カウンセラーえみです』
(2)モラハラの引き金は?              谷本恵美 
 前回に引き続き、カウンセラーの谷本恵美さん。

■4.編集後記                    nishima
う
■5.お知らせ

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☆
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■■ 1.用語解説(1)自己愛について(1)健康な自己愛  西宮侑里  
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(1号:11月19日号に続いています)

近年、ニートや引きこもり(精神病性のものを除く)が増えていると聞きます。また、この本篇で触れていくモラルハラスメントケースの加害者の背景にどうも人格障害といわないまでも、女性に寄生したり他人を不当に利用しようとする傾向の人が多いと聞きます。これらの社会的問題に共通していることのひとつに「自己愛傾向」の問題があるのではないのかと思います。

なぜ大人になっても自分お化けになってしまう人が増えてしまったのか…ひとえに月並みですが受験勉強の影響は否定できないと思います。

勉強ははっきり言ってそんなに頭がよくなくても、時間と環境さえ与えられれば出来るものだし、対人関係のスキルは必要としないし、むしろ友達がいないほうが勉強に集中できるようないわれ方もされます。それに、単なる数値の序列に過ぎないために結果は簡単に現れやすい。すなわち自分のコントロール内に結果が収まるということです。そして順位や偏差値、学校閥、学校のブランドといった自分以外のものさしで周囲からも評価され、自分でもそれが正しいと誤解してしまうのです。このような背景から、思春期の自己愛傾向が修正されないまま大人になってそのまま社会にでてしまう人が多く出てしまいました。自己愛傾向のある人たちが社会に出てからスキルを身につけるためには、自分の自己愛を抑えなくてはいけないのにそれを上回るだけの自尊感情が育っておらずーーー彼らのよりどころは時として学歴や学校のブランド、一流企業では企業のブランドですーーーこんなに優れた資質のある自分にこんなつまらないことをしろというのか、そういって彼らは傷つき、社会に参加することから撤退したり、積極的に自分の能力に見合う就労をしようとしなくなります。そうしてますます社会的スキルは身につかず、社会への恨みや回避する感情ばかり育ち、自分の手を汚さず生きることを考えるようになります。学ぼうとも働こうともせずあるものは親に寄生し、あるものは女性を利用し、すなわち、前者はニートとなったり、後者はモラルハラスメントをしたりするのかもしれません。若干の方向性の違いはあってもこれらの人々には似たような気持ちが背景にありそうです。

こういう人たちを放置したり非難したりしても何も始まりません。こういった人たちも、なぜ自分たちが悩み、傷つき、自分がなぜ傷ついてばかりなのかということを「気がつくこと」で解決の糸口はありそうです。もちろん、このような人たちの対応で困っている人にもどうしてこのような人たちはこのような行動をとるのか、わかるようになるだけでも、傷つけられたり振り回されたり大変な思いをすることは減りそうです。

このメルマガでは今後も、随時「自己愛傾向」について考え、他人からその影響を受けた場合(あくまでも「傾向」の問題として、1.5号(11.27日号)参照)や、自分が「自己愛傾向」をうまく処理です苦しんでいる状況にあると悩んでいる場合、どのようにしたら回復へ向かって行けるのかを考察していきたいと思います。

最後に、この問題は本人も周囲も苦しむことなので、どうしても視点が偏ると被害者や傷つく人が出ます。正直書くのはきついです。あくまでも現象として捉えて問題の解決への糸口を見つけられたらなと思います。
【了】

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■■2.病気の人を見る視点〜人間としての品(2)     西宮侑里
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(1号:11月19日号の続きです)
前回は、持病のある若い女性が、エリート男性と交際したが、短期間で別れたという話を書きましたが、その続き…

「彼」の過ちは、病気でその人の人格を勝手に決めつけ、ありのままの彼女を見ることを省略したことだ。それは自分以外の他者をきちんと見ようとしないエリートにありがちな視点である。それは人間としてやってはいけないことだ。人を見下した、まったく品のないことである。

「でもね、彼、私と付き合っていたときも2型糖尿病の患者(生活習慣病といわれる)は自己管理がなっていないって言ってて、そのあたりからまずいのかなとあたしも思ってたんだ…」

彼の中では「清廉な悲劇のヒロインの1型糖尿病の彼女」と付き合っているということで自分の中のナルシシズム(この文脈ではエゴイズムに近い)を満たそうと思っていたのかもしれない。どの道、彼はありのままの彼女を見ようとしていなかったし、完全に生身の彼女を無視していた。これは彼女を見下していたことに過ぎない。

このことは極端な例に思われるかもしれないが、多かれ少なかれ、人は悪意もなしに気付かないうちにこういう心理に陥っていないか?病気の人間をヒーローに祭り上げることは、―――その実際の苦しさをわかろうとせずに祭り上げることは、実は見下していることと同じだということを人は気付かなくてはいけない。病気をすることは誰しもが苦しいし、辛い。偉い病気も卑しい病気もない。でも、気持ちの中で偉い病気と卑しい病気を作ってしまうことは、その人の存在自体を見ようとせず、病気という点だけでその人を見てしまい、結果としてその人を見下していることになる。そしてそれは人間として本当に本当に品がないことなのだ。私は3度そう言ってこの文章を閉じようと思う。

【了】

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■■3.『女性の心を応援しています。カウンセラーえみです』
(2)モラハラの引き金は?               谷本恵美 
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私が見てきたクライアントさんのケースの中で、モラルハラスメント加害者といわれる人の行動の、最も多く見られる原因・引き金は(モラハラの加害者となる人の?)ストレスです。もちろん、これだけが原因ではありませんが、あくまでも引き金、と捉えて下さいね。

 ストレス下におかれた普通の人は、そこから脱するためにスポーツをしたり、映画を見たり、と気分転換をはかったりします。しかし、モラハラの加害者タイプはストレス解消のために、身近にいるパートナーを攻撃するという行動に出ます。

 最初は、こんな人ではなかったのですが、という声をよく聞きますが、モラハラ加害者的な性質を表出するまでは、彼はあなたに気に入られるべく努力を惜しまない人だったはずです。あなたを愛することが目的ではなく、あなたを確保することが目的なのですから、信じられないほど、あなたに気に入られるような言動をその人は積み重ねたのではないでしょうか? だからあなたとその人が親密になった時、あなたにとっては愛しい人。そのため、彼の様子がなんだか変だな、と思っても、はじめ、あなたは相手の立場を思いやって、イライラしているのだから受け止めてあげよう、今日は我慢してあげよう、なんて思ったりします。そんなあなたのことを加害者は、「あいつは、俺が当り散らしても逃げないな」と学習し、自分のためにあなたを利用し続けるようになります。あなたも、どれだけ我慢したら、彼は自分に気づいてくれるのだろう、と日々を重ね、気がつかないうちに、完全なる彼らのストレスのゴミ箱になっていってしまうのです。

 誰かに当たり散らしてしまう、このようなストレスの発散の仕方を、誰しも実はついついやってしまうことがあります。この「当たり散らす」は、厄介なことに、ストレスの最も簡単な発散方法であったりしますので、誰でも一度や二度経験があるかと思います。たいていの場合、自分で気づいて、ああ、悪いことをしたなあ、と思ったりする。ここがポイントです。

 ただ、当たり散らすという行為は、ついつい、その手段を繰り返すパターンにはまってしまいやすいのも確かです。そのパターンにはまってしまうと、脱するのが困難になってしまいます。正常にストレスを発散できない状態にその人がいるということは、心理的に不適応な状態と言えるでしょう。「自分で気づいている」人、自分の行動に苦しんでいる人、というのは、その苦しみをしっかり見つめて、誰かに相談するなり、カウンセリングを受けるなりして、自分の力で脱する可能性も持っています。ただ、被害者となっているあなたが、その人を理解させてあげよう、変えようというのは無理であることはわかっていて欲しいと思います。あくまでも、その人自身が気づいて苦しんでいて、当事者間ではない第三者の手を借りる必要があります。

 ただ、前回お話しした「真性」。もとより「真性」のタイプの人もいるわけです。そういう人は、もとよりその手段でしか、ストレスを発散できないし、それどころか、被害者タイプをそばに置くこと、自分がその相手よりも優位に立っていると自分で思える状態にあって、やっと自尊心を維持できる人たちなので、それは、ある意味病的であるとも言えるでしょう。
 こうした、「真性」の人と関わってしまった人は、残念ですが、自分のために、その人から少しでも早く退避することが必要です。以前はこんな人ではなかった。私がなんとかしなければ、なんて決して思わないで下さい。(小声でお伝えすると、苦しんでいるふりをすることで、あなたを引き留める、という行動も、「真性」の人たちはするということです。)
 
【このシリーズの次回に続きます…お楽しみに!】 

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■■4.編集後記                     nishima 
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鍋焼きうどんをいつものとおり土鍋で茹でていたら、「ピキン」と音がして、それでも火にかけ続けたら突然真っ二つに割れた。せっかく豚肉とねぎとチンゲン菜でいい感じのだしが出ていたのに、汁はレンジの下に吸い込まれてしまった。仕方ないからまた市販のそばつゆを使ってアルミ鍋で茹でてどんぶりに盛り付けして食べたが、だしが逃げていったせいか、お気に入りの土鍋が割れたショックか、いまひとつ美味しくない。背中を丸くして食卓に向かう私をlafaroがじっと見つめていて視線が合ったら、大きな伸びとあくびをした。

このねこの名前からとったlafaroというIDはここ1年ばかり使っていたけど見事なまでに読み間違い、タイプミスを誘発するIDだと思う。皆さん、申し訳ありません。それにしても一番迷惑なのはこんな名前を付けられたうちのねこだろう。実際母はうちのねこの名前を覚えられず、「ラーちゃん」と呼ぶ。

近所の人はうちのねこの名前は「ラーメン」だと思っている。実際lafaroでもラーメンでも彼は機嫌が悪ければ知らん顔をするし、空腹なら擦り寄ってくる。そうだ、名前なんて記号にこだわるのは人間だけなのかもしれない。

谷本恵美さん、お疲れ様でした。シリーズ次回での展開が楽しみですね。次号かその次では、あの「モラル・ハラスメント被害者同盟」管理人の熊谷早智子さんのお話も伺えるかも。

それではまた次号、楽しみにしていてください。ああ、ねこになりてぇーー。

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■■5.お知らせ  
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*谷本恵美さんのサイト おーぷんざはーと URLはこちら。
             http://www.othpage.com/
*製作協力 モラルハラスメント被害者同盟
   管理人@fix(熊谷早智子)さん。
             http://www.geocities.jp/moraharadoumei/
 * 次号(第3号)発行は2005年12月25日です*
 * 当メルマガのバックナンバーは下記のURLで閲覧可能です。
   幻の創刊号はそちらまで…
http://blog.mag2.com/m/log/0000175773

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責任編集・発行:西宮侑里
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