西方茶話

総合病院精神科をお家とする、おとぼけ精神科医の日記。時々サブカルも。

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2008/09/08 10:29 
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こころの治療は怖くないっ☆増刊1.5号

    2005年11月27日発行
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   こころの治療は怖くないっ☆(臨時増刊)  No.1.5(隔週刊)
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こんにちは、nishima@西宮侑里です。

まぐまぐのシステムをあまり理解しておらず、11.19にあわててUPしたところ、そのままアップロードされてしまいました。私のブログでは皆さんのお手元に11.27に届きますというお約束をしていましたので、今回11.27発行の1.5号は西宮記事単独の臨時増刊になります。えみさん、酒蔵さんの記事は2号に掲載されます。

今回は西宮のモラルハラスメントについての記事と、病気を持って生きることへの考察の2本立てで行きます。

ご意見ご感想などありましたら、お気軽にメールをください。
voice@nishima.org
また、特にモラルハラスメント?と思う経験をお持ちの方は、編集委員で協議した上で本編中で取り上げさせていただきますので、何卒メールをよろしくお願いします。

それではよろしくお願いします…

[責任編集: nishima@西宮侑里]

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■1.モラルハラスメント論考〜モラオさんと自己愛   西宮侑里
■2.ロバの耳穴〜じたばたしたっていいじゃない    西宮侑里
■3.編集後記                    nishima
■4.お知らせ

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☆
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■■ 1.モラルハラスメント論考〜モラオさんと自己愛性  西宮侑里  
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実は今これを飲み屋で書いている。今日はボジョレーヌーボーの解禁日らしいが、新しいワインなんぞに興味はない。輸入ビールをちびちび飲みながらで申し訳ないが、今日はモラオさんの心理について。この「モラオ」さんの部分をあなたの周りのトラブルメーカーさんや「困った彼女」に置き換えても十分通じると思います。

モラルハラスメントをする人のことを、マリー・フランス・イルゴイエンヌという人が「自己愛性の変質者」といいました。(原文ママ:この表記が人権上はどうかと思うのですが)、この人が自己愛と表記したのは実は精神・心理の専門家にはぴんと来るのですが、実際現場で「自己愛性人格障害」の「治療」に当たっている分にはうなずけても(実際大変です)、疾病概念を理解していない人がこの言葉に触れると、被害者が出たり、精神疾患差別を生んでしまう危険な言葉なので、翻案が必要だと感じました。

イルゴイエンヌさんの提唱した「自己愛性」について、噛み砕きましょう。実際はモラルハラスメントをする人は実際は人格水準(社会に適応している水準といいましょうか)が神経症水準から境界水準、これを言い換えるとステイタスの高い仕事をしている人から社会への適応が全く出来ない人からまで様々なのです。

しかし、この人たちに共通しているところがあります。それは自分というものすなわち自我の器が小さく、もろく、自分というものを抱えておけないということ(自我脆弱性といいます)。それをイルゴイエンヌさんの言った「自己愛性」に置き換えてみます。実際こういう人たちにひどい目に合わされているという人たちはしっくり来るのではないでしょうか。以下、その具体的なことを説明しましょう。

この人たちは「ストレス」をうまく自己の中で処理をすることが出来ません。自我の器が小さいからです。つまり、幼く、自己というものの確立が本当の意味で出来ていないということです。また、社会規範にのっとった社会生活を送ることはこの人たちにとって自分というものの存在が常に傷つけられることを意味します。ですから、自分が被害者を演ずる形なり、またしつこくパートナーの過去を聞きだしてあらを探すなりして、二人の間の鍵となるものを何とか握ろうとします。そのためには、鍵を握るまではパートナーを必死で喜ばせ、理想の彼氏を演じます。これはいかなる心理か?それは鍵を握ることで相手の
ことをコントロールし、無制限にパートナーが自分からの依存攻撃をうけられる理由を作りあげるのです。何故コントロールをするのか?それは彼らは恋をすると相手を自分の一部と見做すようになります。そこで自分の自我の一部である彼女が勝手な動きをするのを恐れるようになります。

だから本来は男として最低な、付き合っている女性の過去をしつこく、しつこく聞く、ひどいものになると睡眠をとらせず(これはコントロール・洗脳や自白に使うよくある手段です)性行為をしながら嗜虐的に嘘を吐かせるというものまでいます。そして、彼女が「真実」(執拗な尋問のために作られた「真実」もあります)を言った瞬間から、彼女のことをいつでもコントロール可能で、ストレス状況下で依存攻撃の対象にしうる「下等な自己」とみなし、終わりのないコントロールと残虐ゲームが始まります。彼女を自己の一部分と見做し、そしてコントロールする。そして、結果として自己の意識の座である自分自身
を常に高みに登らせ、自分というものを保つ。これが「自己愛性」の正体なのでしょう。

いずれにせよ、モラルハラスメントにおける自己愛性というものは、自我の脆さから、他人を踏みつけにしたよりどころなき虚勢に近いものという側面があります。それが自分ではなく完全に他者への攻撃性に向かっていることが何よりも問題になるのです。


参考図書:マリー・フランス・イルゴイエンヌ 
    「モラルハラスメント〜人を傷つけずにはいられない」


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■■2.ロバの耳穴〜じたばたしたっていいじゃない     西宮侑里
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こんにちは、nishimaです。今日は病気とのお付き合いについて…この稿ではあえて「患者さん」といわず「患者」表記をします。すみません。

精神科の病気に限らず、病気の治療の第一歩は「病気を受け入れる」ということから始まります。これを医療従事者はあたかも当たり前のことのように言いますね。だって仕事だもん。しかし、患者にとっては仕事じゃなくて人生だ。ここに医療従事者と患者の間に深くて暗い溝が横たわっているのである。

医学部では、患者の気持ちは教えない。患者の気持ちなんてぎりぎりまで追い詰められなくては、自分で味わわなくては覚えない感情。かといって、持病もちの医者がいい医者かというとそれも私ははっきり否定する。というのは往々にして反動形成(手っ取り早くいうとへんな強がり)によって医療者は自分が病気をした弱さを認めようとしないからだ。それに病気だからと言って手加減されるほど第一線の現場は甘くない。高名な医療者が病気をして病棟のトラブルメーカーになって担当医の胃が痛くなる、われわれが狩り出されるなんて話も時にはある。

だから、医師に病気の人の気持ちがわかることを期待するのは、なかなか難しいことなのではないかと私は思うのだ。精神科の基本は傾聴と共感であるが、所詮共感のレベルでは役に立てないことが以前からわかってきた。しかし、世界観まで入り込んでしまうのは、本来は職能としての立場を超えた逸脱行為である。

精神科医のなかには時々抗精神病薬を飲んでみたりするなど、「努力」する人もいるし、実験の被験者として規則服薬と採血を受ける人もいるけど、薬を飲むのが大変とか、実際はそんな程度のレベルで患者の立場の人は「病気を受け入れがたい」のではないのである。

一歩下がって、お医者さんへ。病気のあることでどういう不便がありますか?将来の発症よりも日常でどのような待遇を受け、どのような差別をこの患者さんは受けるのですか?患者さんが優等生とか不良だとか言っているあなたが病気をしたときがどうなるのか知りたいですね。そして、この患者さんの人生を考えたことはありますか?

ひっくり返して、患者さんへ。病気をしたけど、今の状態がありがたく感じるのであれば、それを維持するためにはどうしたらいいのですか?今の状態が耐え難いのならどこが耐え難いのですか?どのようになったら楽になりますか?悔しい感情は本当はどこに向けるべきなのですか?近い将来どのように生きたいのですか?

ゴングを鳴らしてみたものの、ますます深くて暗い川の川底を掘り返してしまったような気がする。でも、こういう問題ってあまり話されていないと私は思ったりするのだが…

唯一つ、患者の立場になった人へ。医者、特に身体科の医者は、よくて共感はしても、あなたを完全に理解をしてあげられない。だから徹底的に悩んで愚痴れる人に愚痴って、どこかで独り言をつぶやいてほしい。でもそれは人を憎むためでも誰かを恨むためでもなく、自分自身を理解して愛するため。自分以外に自分のことを理解は出来ない。自分のことをわかってあげられれば、病気のこともきっとわかってあげられると思うから。どんどん、いろんなところにロバの耳穴を掘ってほしいと思う。何よりも自分自身のために。


※ちなみに慢性疾患に伴う適応障害は精神科の介入範囲です。
※※nishimaが自分のために掘った「ロバの耳穴」はネットの各所に散らばっています。ハンドルは教えな〜い♪

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■■3.編集後記                     nishima 
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今回はあわてて、27日0:15を楽しみにしてくれている人向けに配信してみました。私の文章だけだと弱くていかんですな。次号、12月11日(第2)号はパワーアップ酒蔵さんと、えみさんのモラルハラスメント理論に注目です。

世はクリスマスムード真っ盛り、赤と緑とクリスマスソングで、精神的に背中に20kgの砂袋をしょってしまう人間は私だけではないはずだ。サンタよ、プレゼントは宅配便で送っておくれ。頼むから街にやって来ないでおくれw…それでは次号をお楽しみに^^


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■■4.お知らせ  
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*谷本恵美さんのサイト おーぷんざはーと URLはこちら。
             http://www.othpage.com/
*製作協力 モラルハラスメント被害者同盟
   管理人@fix(熊谷早智子)さん。
             http://www.geocities.jp/moraharadoumei/

 * 次号(第2号)発行は2005年12月11日です*
 * 当メルマガのバックナンバーは下記のURLで閲覧可能です。
   幻の創刊号はそちらまで…
http://blog.mag2.com/m/log/0000175773


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*西宮侑里のサイト、こころの治療は怖くないっ☆ http://nishima.org

*ご意見・ご感想は voice@nishima.orgまでお願いします^^
また、モラハラかもというご相談なども「協議希望」と明記の上、sitsumon@nishima.orgまでお送りください。 編集委員で協議して、本文中に回答と共に挙げさせていただきますね。心の悩みについてもsitsumon@nishima.orgまでお寄せください。メルマガ上で回答します。

責任編集・発行:西宮侑里

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※転載・転用についてはvoicd@nishima.orgまでご相談ください。 
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2005/11/27 20:34 
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